曖昧な態度はストーカーを増長させる

昨今増えているストーカー犯罪関連のニュース…。
そういった話題をテレビで見るたびに私には思い出す人がいます。

 

大学生のころ、私はカフェでアルバイトをしておりました。
憧れの喫茶店などではなく中堅どころのチェーン店。人通りが多い立地にあり、客入りもまぁまぁ。ただし味はイマイチ。明るい人柄の店長に惹かれてやってくる常連のお客さんがほとんどでした。
あの頃の私はといえば、花の女子大生にも関わらず髪は真っ黒。化粧なんかはそれなりにするけれど、お洒落にはそれほど気を遣う方ではなかったので大学に行くと地味な部類だったと思います。太くもないけれど、同級生の可愛い女の子達みたいにすらっと細くもない。所謂、普通の子。

 

ある日、いつものようにカフェでレジを打っていると目の前にいたお客さんからお釣りと一緒に一枚の紙を渡されました。あまりに一瞬の出来事に、そそくさと出ていったその人の顔とか格好とかは全く覚えていない状態。休憩時間にドキドキしながら読んでみたその紙には「ずっと好きでした」の一言とメールアドレスのみが書かれておりました。

 

あんなこと初めてだった私は、正直とても舞い上がっていたと思います。仕事終わりにすぐにメールをして「お手紙、ありがとうございました。嬉しいです」と返信しました。この文面。この内容があんなことになるとはこの時は思いもせんでしたが。

 

わたしが送ったメールに対して「ありがとう!返事をくれると思ってなかったから、とても嬉しいです!」とすぐにた彼は文面から誠実そうな印象を受けました。
とても緊張していたこと、私のことをずっと見ていたこと、どれだけ好きな気持ちがあるか…。とても長いメールを送ってきた記憶があります。文章の最後には「また、会いにいきます」と書かれてありました。

 

手紙を受け取った日のその次にあたるバイトはすこし期間を置いていました。大学のテスト期間がちょうどかぶっており、1週間半のお休みを元々頂いていたのです。
手紙を頂いて告白をされてから3日目。勉強に集中していた私の元に来たのはバイトの先輩からの一通のメールでした。

 

「彼氏できたんだって?おめでとう!」

 

そう一言書かれてあるメールに呆然としました。心当たりはありませんでした。いえ、自分では薄々分かっていたのかもしれません。あの人がそう言ったのだと。自分では明確な返事を言ってなかったつもりだったけど、彼はそう受け取らなかったのだと…。
先輩に話を聞くと彼は私の彼氏であること、そして今日休みかどうかを聞いてきたようでした。どうしよう、と戸惑う元に届いた「いつも木曜日はバイトの日だよね?どうして今日はいなかったの?」という彼からのメール。なぜだか酷く怖く感じてしまい、そのメールを返信することができませんでした。

 

それからテストが無事に終わっても、私はなんとなくバイトに行くことが出来ませんでした。
学外実習を控えていたということもあるけれど、彼のことについてこのままやり過ごそうとしていたのだと思います。メールはあれからも届きました。「大学だからそういえばそろそろテストだね。がんばってね」とか「はやく顔がみたいです」とか文面は様々でしたが、文末に書いてある「早く会いたいです」という一言だけはどのメールもそのままでした。そして、どのメールにも私は返事を返せませんでした。

 

日に日にメールの数が少なくなり、あの日から3ヶ月後。全く音沙汰もなくなった様子に私はすこしほっとしていました。バイトはそれまで入ってなかった早朝にシフトを変え、大学にいくまでの2時間や3時間の短時間勤務にも慣れ始めていました。

 

いつものようにバイトを終え、その足で大学へ向かっていた私に一通のメールが届きました。
彼からのメール。文面はただ一言、

 

「殺す」

 

の一文のみ。一瞬で全身の血の気が引き、その日はそれからどう家まで帰ったのかはよく覚えいません。気がついたら家で泣いていたし、母に相談をしていました。

 

その日のうちにバイトをやめ、数日後に携帯を変え、そしてそれから今まで彼からのメールは来ていません。あの日私に向けられた殺意は一瞬のことだったけれど、あれ以上怖かったことはありません。

 

世間で流れているストーカー被害のニュースに比べると私が体験したことなんてほんの小さなことだけれど、あんな怖い体験を世の中の女性には誰もして欲しくないと思います。
そのためにも私から言えるのは、好意を曖昧にしないこと。この一つだけです。
相手を傷つけることがあるかもしれない。けれど、どっちつかずな態度や思わせぶりな態度をとるほうが傷つけることもあるのだと思い知った今、世の中の女性にはすこしだけ考えて欲しいとおもいます。

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